
昨年末、ある報道が注目を集めました。欧州危機の余波で日本の投資信託が軒並み残高を減らす中、当初募集で想定額を上回る資金を集めたファンドがあったからです。
その商品名は三菱UFJモルガン・スタンレー証券が販売する「dbX-ウィントン・パフォーマンス連動オープン」。
世界中の先物を投資対象として運用するマネージド・フューチャーズ戦略のヘッジファンドへの連動を目指す商品です。相場混乱時に顧客への訴求力が期待されるのがヘッジファンド商品とはいえ、日本人にはまだ馴染みの薄い商品。この相場環境下では大健闘と言えるでしょう。
同社でも当初、ヘッジファンドとはいえ、この不透明な相場環境下での販売は相当苦労するだろうと予想していました。このため募集期間を8月末から10月初旬まで比較的長期間とし、顧客への説明を徹底させました。
ターゲットとなるのはヘッジファンドへの関心が高い富裕層の顧客。顧客には同ファンドのトラックレコード(運用実績)がリーマンショック時にも大きな値動きがなかったこと、相場が不安定な環境で伝統資産に加えてオルタナティブ資産をポートフォリオに加えることの重要性を訴えました。
同商品には米ドル建て、円建て円ヘッジ、豪ドル建て豪ドルヘッジの3コースそれぞれに「分配型」と「成長型」があります。分配金については、分配型が年2回、成長型は原則として分配しません。
結果として、当初募集では円ヘッジの成長型が177億円、円ヘッジの分配型が137億円、米ドルクラスの成長型が110億円、コース合計で580億円と同社が想定していた額のおよそ2倍を集めたのです。
同社がこれまでヘッジファンドを販売した際には、数十億円単位で購入する富裕層も存在しました。今回のウィントンは、数億円単位の購入者はいたものの、10億円以上の販売はありませんでした。今回の販売での1件当たり平均購入単価は1000万円を下回っています。
「伝統資産プラスアルファ」という提案から、購入単価は小口化したものの、富裕層顧客のすそ野は広がりました。日本でもヘッジファンドが市民権を得つつある、象徴的な出来事と言えるでしょう。
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